大会概要

大会名称

ジョンディアクラシック

放送日時

2025.7.6(日)

2025.7.7(月)

開催場所

TPCディアラン(イリノイ州)

賞金総額

840万ドル

前回優勝者

デイビス・トンプソン

FedExCupポイント

500pt

■イリノイ州のシンボル“鹿” 本当に鹿(ディア)が走るTPCディア・ラン
開催コースはイリノイ州西部シルビスにあるTPCディア・ラン(Deere Run)。ミシシッピ川渓谷の美しい景観の中、適度な起伏に富んだ林間コースだ。かつては競走馬の調教施設だった敷地に造られたため、その名残として2番パー5の奥には厩舎跡が残っている。

コース名の通り、野生のディア(鹿)が生息しており、試合中に“観戦”に現れることも珍しくない。鹿はイリノイ州のステートアニマルであり、スポンサーである農業機械メーカー・ジョン・ディア社のシンボルでもある。14番ホールの名称も“ディア・ラン”と名づけられている。

設計はD.A.ワイブリング。現役時代に設計に着手し、イリノイ州クインシー出身でコースから約2時間の距離に位置する。PGAツアーでは5勝を挙げ、そのうち3勝は本大会の前身であるクアッドシティ・クラシックでのもの。土地への理解と豊富な経験・知識を注ぎ込んで設計されたこのコースは、イリノイ州トップ5、さらには全米トップ100パブリックコースに選出されるほど高く評価されている。

各ホールには愛称が付けられており、ロックリバー沿いの絶景が楽しめるシグニチャーホール、16番は“マザーアース”。勝負を決する18番は“コンキスタドール”(征服者)など、地域の歴史やコース戦略の要素を盛り込んだ名称が、ゴルファーにより深い理解や親しみを与えている。

■バーディ天国 昨年も初日に“59”達成
2000年からこのコースでの開催が始まり、「バーディ天国」や「バーディの楽園」と称されるのも納得の内容だ。

過去16年間のうち、15回の大会で優勝スコアが20アンダーを超えた年がなんと12回もある。2018年にはマイケル・キムが27アンダーで大会新記録を樹立したが、昨年はデービス・トンプソンが28アンダーで優勝し、その記録をさらに更新。2010年の初日にはポール・ゴイドスが“59”を記録し、昨年もヘイデン・スプリンガーが初日に2イーグル、8バーディの“59”をマーク(史上13人目の快挙)。

バーディやイーグルの量産で大会は毎年大盛り上がり。天候が荒れない限り、今年もエキサイティング&スリリングな展開が期待される。

■スター誕生! スピース、デシャンボー、ハーマンが初優勝
2013年には、当時シード権を持っていなかったジョーダン・スピースが今大会で初優勝。72ホール目に右バンカーからチップインバーディを決め、プレーオフ5ホール目で劇的勝利を収めた。当時19歳11か月17日で史上5番目の年少優勝、同大会最年少優勝、そして82年ぶりの10代優勝者として大きな話題となった。その後メジャー3勝を含む通算13勝を記録している。

翌2014年はブライアン・ハーマンが今大会で初優勝し、2023年の全英オープン優勝を含め4勝を挙げるまでに成長。2017年にはブライソン・デシャンボーもここで初優勝を遂げ、メジャー2勝を含む通算9勝と、キャリア躍進のきっかけとなった。

また、セップ・ストラカも2023年にこの大会で2勝目を飾り、今季すでに2勝を挙げて世界ランク7位に浮上するなど、飛躍の契機となっている。今年もまた新たなスターが誕生するのか。誰が優勝争いを繰り広げるのか楽しみだ。

■大会名物のポークチョップバーガー
この地は北米大陸の“コーンベルト”と呼ばれる大草原地帯に位置し、湿度の高い大陸性気候によって冬と夏の寒暖差が激しい。典型的な農業地域で、主な産業はトウモロコシや大豆の栽培、牧畜も盛んに行われている。

1848年、農具を製作する鍛冶屋を営んでいたジョン・ディア氏が鉄の耕作機を開発。それがきっかけで、同社は現在では世界最大の農業機械メーカーとなった。ゴルフ場の芝刈り機や管理機器などでも知られ、PGAツアーのスポンサーを務めるなど、ゴルフの発展にも大きく貢献している。

大会名物はポークチョップバーガー。開催期間中、コース内で地元産の豚肉ステーキをバーベキューにし、それをパンに挟んだボリューム満点のバーガーが提供される。美味しそうな香りが漂い、ギャラリーの空腹を満たしている。

文:佐渡充高(解説)

HOLE

PAR

YARDS

1

4

416

2

5

561

3

3

186

4

4

454

5

4

433

6

4

367

7

3

226

8

4

428

9

4

503

TOTAL

35

3574

HOLE

PAR

YARDS

10

5

596

11

4

432

12

3

215

13

4

424

14

4

361

15

4

484

16

3

158

17

5

569

18

4

476

TOTAL

36

3715

大会の注目選手

ツアー公式サイトの優勝予想で最有力に推されたのは今季2勝のベン・グリフィン。直近6試合連続トップ15入りと絶好調で、今大会は初出場だった昨年大会で5位タイに入っている。

優勝予想2番手はケビン・ユ。直近5試合で2度のトップ5入りとこちらも好調を維持しており、今大会は2023年に6位タイ、昨年に20位タイと相性の良さも評価された。

以下、3番手に2022年覇者のJ.T.ポストン、4番手にジェイク・ナップ、5番手にデニー・マッカーシーと続く。

2021年王者のルーカス・グラバーは8番手、昨年優勝のトンプソンは14番手、前週優勝のアルドリッチ・ポットギーターは15番手となった。

日本勢は久常涼、金谷拓実、星野陸也、大西魁斗が参戦する。

(写真:Getty Images)

2025.6.27(金)
デイビス・トンプソンが大会新の28アンダーで初優勝 2024年 ジョンディアクラシック 最終日ハイライト
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