- 2025.6.20(金)
- キャム・デービスが3年ぶり4勝目 2024年 ロケットクラシック 最終日ハイライト
大会概要
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大会名称
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ロケットクラシック
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放送日時
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2025.6.29(日)
2025.6.30(月)
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開催場所
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デトロイトゴルフクラブ(ミシガン州)
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賞金総額
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960万ドル
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前回優勝者
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キャム・デービス
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FedExCupポイント
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500pt
■五大湖に囲まれたミシガン州で唯一の開催」
今大会は中西部・ミシガン州で唯一の開催となる大会。五大湖に囲まれ、ニックネームは「グレートレイク州」。北と東にスペリオル湖とヒューロン湖、西にはミシガン湖が広がり、北部はカナダと国境を接する。
ミシガンという名は、先住民族チッペワ族の言葉に由来し、「大きな湖」という意味だ。米国で公共ゴルフ場が650以上と最多を誇り、広大な森林や湖が織りなすダイナミックな景観は、全米のゴルファーを魅了している。
最大都市デトロイトは自動車産業発祥の地。1958年にはゼネラルモーターズ社のブランドが冠スポンサーとなった「ビュイック・オープン」が始まり、51年間続いた。
2014年からは住宅ローン会社がスポンサーとなり、現在に至っている。認知度向上のため「ホールインワンで1年間住宅ローン免除」という目玉企画も話題を集めた。特定のパー3でホールインワンを達成した選手が出た場合、希望するギャラリーの中から抽選で1名に「1年間住宅ローン免除」が贈られた。
2019年にはネイト・ラシュリーがこれを達成し、自身の初優勝とあわせて大きな話題となった(この企画は数年続いたが、現在は行われていない)。
■強インパクトの歴代勝者たち
ラシュリーの初優勝は、飛行機事故で両親と恋人を亡くした過去を乗り越え、長年の努力が報われた感動的な瞬間だった。
膝の負傷による公傷制度のため出場優先順位が低く、極わずかなチャンスを待っていたところ、開幕前日に出場が決定。ぶっつけ本番の初日を迎えたが、本人も驚くほどの絶好調で、首位を守り続けての完全優勝。さらにホールインワンで観客にもローン免除という大きな贈り物を届けた、劇的な4日間だった。
2020年の優勝者ブライソン・デシャンボーは、コロナ禍での肉体改造と圧倒的な飛距離で強烈な印象を残した。2021年と2024年には、オーストラリア出身のキャメロン・デービスが唯一の複数回優勝を達成。
2022年のトニー・フィナウは2週連続優勝で存在感を示した。2023年にはリッキー・ファウラーが4年半ぶりの復活優勝。コリン・モリカワ、アダム・ハドウィンとのプレーオフを制し、歓喜と安堵が入り混じるような表情で天を仰いだ姿が印象的だった。
■巨匠ドナルド・ロス設計の傑作、デトロイトGC
舞台となるデトロイトGCは1899年開場、126年という長い歴史を誇る。設計は巨匠ドナルド・ロス。最も平坦な林間コースの一つで、極端なドッグレッグはないが、各ホールは大木でセパレートされ、タイトなホールが続く。グリーンは小さめで、ショットの正確性や弾道のバリエーションが求められる。
注目は17番パー5。多くの選手が2オンを狙えるホールで、展開を大きく左右する重要な場面だ。歴代優勝者たちはここでバーディやイーグルを奪い、勝利へと結びつけてきた。今年も17番は勝敗のカギを握るだろう。
■エリア313チャレンジ(14番~16番)
本大会の目玉チャリティ企画「エリア313チャレンジ」は、デトロイトの市外局番313にちなんで名付けられた。14番(パー5)、15番(パー3)、16番(パー4)の3ホールを「エリア313」と呼び、選手のスコアに応じてスポンサーからの寄付額が決まる。
・14番でイーグル(スコア「3」):2,500ドル
・15番でホールインワン(スコア「1」):10,000ドル
・16番でバーディ(スコア「3」):2,500ドル
この3ホールの合計額を4日間で集計する。また、1人の選手が14番でイーグル、15番でエース、16番でバーディというスコア「3-1-3」を達成すると、その選手の名で313,000ドルが寄付される。
火曜日には、選手と著名人がペアを組み、14番から16番をプレーする「エリア313スクランブル」が開催される。昨年は総額150万ドル(約1億2,000万円)が、デジタルインクルージョン推進活動に役立てられた。
※ドナルド・ロスについて
1873年、スコットランド生まれ。1948年、75歳で逝去。代表作にはパインハーストNo.2(ノースカロライナ州)、セミノールCC(フロリダ州)、オークランド・ヒルズCC(ミシガン州)、オークヒルCC(ニューヨーク州)などがあり、設計コースは500を超える。
師匠はオールド・トム・モリス。20歳までセント・アンドリュースで働き、多くのスコットランド人がタイタニック号で渡米する時代、ロスも1898年に25歳で渡米。ボストン港に到着した際、所持金はわずか2ドルだったという。
クラブプロ時代に実業家ジェームズ・タフトと出会い、初めて設計したのが昨年の全米オープン開催地・パインハーストNo.2。時を経て磨かれた珠玉のゴルフ場として、2029年には男子・女子連続開催となる全米オープンの舞台に決定している(通算5回目)。
文:佐渡充高(解説)