大会概要

大会名称

RBCカナディアンオープン

放送日時

2025.6.8(日)

あさ5:00 〜 7:30

2025.6.9(月)

あさ5:00 〜 7:30

開催場所

TPCトロント at オスプレイバレー(カナダ)

賞金総額

980万ドル

優勝賞金

176.4万ドル

FedExCupポイント

500pt

■カナダが世界に誇るナショナルオープン 世界で4番目、北米で2番目の歴史

カナディアン・オープンは1904年に初開催、今年で122年目。北米最古のロイヤルモントリオール(ケベック州1873年開場)を舞台にはじまった。世界のトーナメントでは5番目の歴史(全英オープン1860年、全米オープン1895年、ウエスタンオープン1899年、南アフリカ1903年)を誇り、ナショナルオープンとしては世界4番目の歴史がある。

多くの名勝負が繰り広げられ、リートレビノ(1971年)とタイガー・ウッズ(2000年)がナショナルオープン同年優勝の三冠(全米、全英、カナダ)を達成している。マスターズ優勝で史上6人目のキャリアグランドスラムを達成したロリー・マキロイは2019年優勝、2022年優勝とコロナ禍で中止の2年をまたいで連覇達成、昨年も4位タイと好成績を残し、今年のプレーも楽しみだ。

不思議なことがひとつ。絶対王者ジャック・ニクラスは2位が7回と未勝利。毎年奮闘するも、なぜかカナダでは勝利の女神が微笑まなかった。

トロフィーは銀製でカナダの地図が刻印され、台座は現地名産メープル材(楓)とカナダを象徴するデザインだ。

■2023年、歴史が動いた!69年ぶりに母国カナダ選手が劇的勝利

母国カナダ人の優勝は1914年まで11回中10回と多かったが、1919年から2022年まで84年間でカナダ人の優勝は1954年のパット・フレッチャーのみ。以降68年もの間カナダ人の勝利はなく暗黒時代が続いた。

特に惜しかったのは2004年大会。前年マスターズでカナダ人として初優勝し国民的ヒーローとして凱旋出場したマイク・ウィアーが最終日首位で迎え、50年ぶりのカナダ人優勝への期待が高まった。しかし、ビジェイ・シンにプレーオフで敗れ悲壮感が漂った。

それでもカナダのファンは悲願達成を信じ母国選手に熱い応援を続け、遂に歴史が動いた。2023年ニック・テイラーが69年ぶりに劇的勝利。英国トミー・フリートウッドとプレーオフ4ホール目でテイラーは何と22mの超長イーグルパットを決めた。

その瞬間、グリーンサイドで応援していた同郷アダム・ハドウィンは祝福しようと猛ダッシュ。が、警備員に不審者だと思われ、タックルで阻止され軽傷を負うアクシデントが発生したほど大興奮の歴史的瞬間だった。

■今年の開催はTPCトロント オスプレーバレー 北コース

今年はトロントから北西約1時間の場所にあるカナダ初のTPC運営ゴルフリゾート。設計のダグ・キャリックはトロント大学で景観設計の学位を取得し、地形や景観を最大限に生かす戦略的で美しいデザインが特徴。環境保護にも配慮しSDGsを重視している。

北コースはなだらかな起伏の美しい林間コース。特徴は、プラトー(砲台)グリーンが多く、グリーンを外すとボールは途中で止まらず下まで転がり落ちてしまうことが多い。また、大きく深いバンカーが難度を上げる。

各ホールはメリハリもついている。ワンオン可能なパー4もありながら500ヤードを超えるパー4が4ホールも。16番は513ヤードで難しさは1、2を争う。17番は530ヤードでコース最長のパー4だ。パー5は1番と18番の2つで、特に18番はバーディチャンスもある一方、グリーン左サイドの池が効いていて最終盤にドラマが起こりそうだ。

■勝利のサイクル、今季PGAツアーにカナダ選手7人

2003年、ウィアーがマスターズに優勝し、カナダ人初で唯一のメジャー勝者になった。ウィアーの最後の優勝は2007年、その後、2014年にテイラーがサンダーソンファームズ選手権に勝利するまでカナダ選手のPGAツアー優勝は7年間のブランクがあった。しかし、その頃からカナダ勢にプラスの波及効果が起こりはじめた。

2年後の2016年、マッケンジー・ヒューズがRSMクラシック優勝。2017年にアダム・ハドウィンがバルスパー選手権、2019年にコーリー・コナーズがテキサス・オープン優勝。昨年もテイラー・ペンドリスがバイロン・ネルソン、今季もソニー・オープンでテイラーが最終ホールでイーグルを決めプレーオフで勝ち抜き劇的勝利で通算5勝目。

今季のカナダ勢はシード選手が7人と激増し勢力拡大中。渾身で挑むカナダ勢の母国のナショナルオープン、今年も彼らのパフォーマンスが楽しみだ。

■熱い!トロントのスポーツファン

トロントはカナダ東部オンタリオ州最大の都市。首都オタワも同州にある。東隣で公用語が仏語のケベック州の影響から街の標識など英語と仏語の併記が多く、西部バンクーバーとは違った独特の雰囲気だ。

同地出身で知られるのは俳優ジム・キャリー、キアヌ・リーブスもトロント育ち。ラッパーのドレイクはトロントを「The 6ix」と表現し、今ではニックネームとして定着するなど、さまざまな個性を育んだダイナミックな街だ。

何よりスポーツファンが熱い。プロスポーツのチームが多く、大リーグのトロント・ブルージェイズはワールドシリーズ1992年と1993年連覇、NBAトロント・ラプターズは2019年ファイナル初優勝、NHLトロント・メイプルリーフスはスタンレー杯13回優勝、サッカー、ラクロス、ラグビーなど、いずれも熱狂的応援で知られる。

ゴルフは19世紀後半にスコットランド移民からはじまり、長い歴史と伝統を誇る特別な競技。1904年セントルイス五輪のゴルフ競技で金メダルを戴冠したのはトロント郊外出身のジョージ・ライオン。112年ぶりにリオ五輪の競技復活の際はカナダがディフェンディング国で再び脚光を浴びた。今年のナショナルオープンも大声援、大歓声で盛り上がるのは間違いない。

文:佐渡充高(解説)

HOLE

PAR

YARDS

1

5

542

2

4

481

3

4

440

4

3

158

5

4

497

6

4

350

7

3

237

8

4

440

9

4

500

TOTAL

35

3645

HOLE

PAR

YARDS

10

4

416

11

3

225

12

4

375

13

4

526

14

3

144

15

4

434

16

4

513

17

4

530

18

5

581

TOTAL

35

3744

大会の注目選手

PGAツアー公式サイトの優勝予想で、日本の久常涼が11番手にランクイン。直近10試合でトップ10入り3度、18位タイを2度記録しており、「22歳は2年目でPGAツアーにうまく馴染んでいる」などと高評価の理由が挙げられている。

優勝候補最有力は大会2勝のマキロイ。今季は9試合の出場で3勝を含むトップ25入り8度(うちトップ10入り5度)と驚異的な安定感を誇る。

2番手はシェーン・ローリー。以下、3番手にペンドリス、4番手にコナーズと地元カナダ勢が続く。また、2023年に母国大会制覇を達成しているテイラーは6番手評価となった。

日本からは久常に加え、金谷拓実、大西魁斗が参戦する。

(写真:Getty Images)

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